とうしょう尚 コンテンツに戻ります。  崎 尚

番外編えぴそーど 陶尚と秋のお祭り

2008年秋作
備前焼 御神燈
備前焼 陶尚 御神燈・銘灯籠

   年度別 作品紹介
2008下期作品展へリンクします


 秋には各地で「秋祭り」なるものが
   執り行われております。
もちろん当方の地でも、、毎年。。。

  ただ、私の場合、例年秋の10月には
   三地区、3つのお祭りが
        週ごとに楽しめる、、。
    いや、参加させてもらっております。


まず、10月最初の週には
私の生まれた地でもあり
現在の築窯地、窯場地元の
赤穂市福浦新田地区に復活された
福浦新田獅子保存会の
「獅子舞奉納」

10月の10日までの近い土日に執り行われる
秋の収穫祭です。

9月半ばから練習に参加して
体を徐々に馴らしていきます。
「やしま」「やっこ」「ぼたん」っと呼ばれる
基本の舞から、「吉野」「太刀」と言った
音色に優雅、荒々しく激しい獅子。
舞いの歌は全部で12種類
本番前段の土曜の夜は宵宮、
山の頂に建立された龍神宮にて
宵宮舞、獅子舞奉納が行われる。

続いて日曜には地元の家々を練り歩く、、。
以前は出稼ぎ?嫁がれた遠方まで
出向いて獅子舞をしておりましたが、
現在は厳かに地元内を練り歩いております。

今の私の肉体と体力では
大変に厳しいものがあります。
「獅子を舞う」架空の動物ではあります。
そんな、雄獅子の荒々しさ、勢い、
はたまた、玉と戯れたり、、っと、
笛の音に操られて、楽しく気持ち良いものです。

学校を出たころから参加して、おりましたが、
この焼き物の道に入って何年かは
不参加だった時代が在りましたが
近年改めて参加しております。
っと、言うのも、
10月の第3週土・日曜日には
備前焼の祭りが例年行われておりまして、
本場の備前で勉強しておる身では、
そちらが私の中では最優先とされて、
祭りにほど近い9月の半ば頃から
各窯元、作家先生らが祭りに向けた
窯焚きをされておりましたので、
当時、職人・陶工の仕事を済ませて
一日に三件の掛け持ちのお手伝い、、
朝出て、翌々日の夜に帰宅。
っと、言うようなハードスケジュールを
平気でこなしてた時代でした、、。

今となっては、窯焚きも年に数件、
祭りへの、出店件数もかなり減りました、、。
10月中旬、祭り第2週目は、
岡山県備前市伊部駅周辺で行われる
「備前焼祭り」

天気もよければ、
本当にたくさんの方が御見えです。

私が窯元時代に初めて経験した
お祭りでは、いくつもの買い物の袋を
下げられても、まだ物色するような、、。
出会いがあれば、衝動買い。
そんな勢いがありました。

近年は、お買いもの品にターゲットを絞って、
吟味の上に吟味、。っと言うような、、
お買い求め方をされる方が
多くなったように思われます。
お買い物袋の数もスッキリ。。。
良いものを選ばれる、。
当然のことですが、、。





上の写真は、ここ近年お手伝いに行かせて
もらっております、先生の出展ブース。

当方は、自身での出店はしておりません。
お声を掛けて戴けるので、毎年雰囲気を楽しみに、
お手伝いに行っております。
「備前焼」が好きっと言う方々が集まるお祭り、
そんな方々とのお話も楽しいものです。



写真の大屋台、
生まれは姫路の播州屋台。
紹介しますに、

全高4.8メートル全幅2.4メートル
総重量約2トン
10月下旬祭り第3週目は、
赤穂市塩屋地区で行われる、
「塩屋荒神社秋季大祭」

左の写真は10月25日に一番近い土日に
執り行われる大祭にて、
大屋台の出立ちを待つ当方です。


こちらのお祭りは110年の歴史を持つ大祭で
赤穂の塩田に携わる方々の集落に
東と西に分かれて秋の大祭に屋台を
奉納する神事で、神様への礼儀だと
大雨でも宮入りを目指す屋台です。





屋台の中心部の大太鼓は
ケヤキ一本胴くり抜きで2尺9寸、
約87センチもあるそれは大きな太鼓です。
真心を持って無心で叩くと、勢いが出て
神様に届くと言われております。
屋台最上部には天に向かって美しく輝く
擬宝珠(ぎぼし)
その擬宝珠を受ける露盤(ろばん)には
龍や須佐之男命、櫛名田媛が施されております。
棟は播州屋台の特徴である神輿屋根型で、
勇壮な気品が漂う白木。
光の加減で「黄金の屋台」が見られます。
また、棟の四隅に総才と昇(しょうしゃとのぼり)
棟正面には金鳥紋(きんうもん)
背後に玉兎紋(ぎょくうもん)
両側に輪宝紋(りんぽうもん)なる屋台紋が、
そして、棟下には三軒繁捶木(さんげんしげたるき)
正角(しょうすみ)、井筒と井筒通(うづつといづつとおし)
などには金銀の施しと彫り物が、挟間(さま)には
明治の巨匠初代松本義廣による
彫り物が施されております。






屋台を担ぐ人を”かえこ”っと呼びます。
かえこ衆によって担がれる大屋台は”やたげ”
”やたげ”は勇壮で華麗。

かえこ衆の一人の私はまだその歴史の中に
少し足お踏み入れただけですが、
祭りとなると瞳を輝かせた大勢の男衆が
集まり一つになる。
勇壮華麗なやたげ。
担ぐ体には大太鼓の鼓動が体中に伝わる。
かえこ衆の掛け声が心に響く。

体にはきついが心地よい世界。

不思議な世界です。








また、やたげの装飾品の数々は
本当に見事です。
中でも、ヒノキの一刀彫。
露盤に施された龍。
当方も細工物などの制作をしておりますが、
見るからにも震えがきます。
それは見事なものです。

何時日にか、先人に負けないような作品を
残せたら、、っと思うのでした。

秋のお祭りにて、、。




2010年3月


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